燭台の灯りの下でワインを注ぐ執事

WINE

ワインのマナー

ワインのマナーは、味わうためではなく同席者への配慮のためにあります。知識を披露する場面はほとんどなく、必要なのは場を保つふるまいです。ここではグラスの持ち方、注がれるときの所作、継ぎ足しの考え方、飲めないときの断り方まで、執事がサービスの現場で用いている作法をお伝えします。

グラスはどこを持つのか

脚を持つのが基本です。ボウル部分を握ると手の熱が伝わり、温度が変わってしまうためです。

脚を親指と人差し指、中指で軽くつまむように持ちます。ボウルを包み込む持ち方は、海外では一般的な場面もありますが、温度管理の観点では脚を持つほうが理にかなっています。

テーブルに置いたまま注いでもらうときは、グラスに手を添えません。持ち上げて受けるのは日本の酒席の作法で、ワインでは置いたままが基本です。

注がれるときはどうするのか

グラスは置いたまま、手を添えずに待ちます。持ち上げたり傾けたりする必要はありません。

注ぐ側は量を見て加減しています。持ち上げられると量が測りにくくなり、こぼれる原因にもなります。置いたまま静かに待つのが、注ぐ側にとっても最も助かる形です。

注ぎ終わったら、軽く会釈するか小声で礼を言えば十分です。大きな声を出す必要はありません。

継ぎ足しの考え方

ワインでは、飲み干す前に注ぎ足すのが一般的です。日本酒のように空になってから注ぐ習慣とは異なります。

グラスが空になる前に注ぐのは、常に適量が保たれている状態をつくるためです。空にしてから注ぐと、飲み干すことを促しているように見えてしまいます。

自分が注ぐ側になった場合も同じです。相手のグラスが減ってきたら、会話を止めずに静かに注ぎます。声をかけて確認するのは、かえって会話を切ってしまいます。

燭台の並ぶ食卓でグラスを整える執事

飲めないときはどう断るのか

グラスの縁に軽く手をかざすだけで十分です。理由を説明する必要はなく、相手も気にしません。

断り方が大げさになると、相手に気を遣わせます。手をかざす、あるいは「今日は控えております」と一言添える程度で十分です。断ったあとも、グラスは下げずに置いたままで構いません。

体質や事情で飲めない方は少なくありません。勧める側も、一度断られたら重ねません。これも作法の一部です。

乾杯とテイスティングの場面

乾杯ではグラスを合わせず、目の高さに上げるだけで十分です。テイスティングは主催者が行うもので、同席者は待ちます。

薄いグラスは、当てると欠けることがあります。目の高さまで上げて視線を交わせば、乾杯として成立します。音を立てないほうが、格式のある場では自然です。

テイスティングは味の良し悪しを判断する場ではなく、品質に問題がないかを確認する行為です。主催者が行い、問題がなければうなずいて合図します。同席者は静かに待ちます。

知識はどこまで必要か

多くの場面で不要です。相手が知りたそうにしていない限り、説明はしないほうが場は和みます。

産地や品種の知識があると選ぶときに役立ちますが、食事の席で披露する必要はありません。詳しくない方が同席している場合、知識の話は場を硬くします。

執事が現場で重視しているのも、知識より所作です。静かに注ぎ、適量を保ち、断られたら引く。この三つで十分に務まります。

よくあるご質問

ワイングラスはどこを持ちますか。

脚を持つのが基本です。ボウル部分を握ると手の熱が伝わり、温度が変わってしまうためです。

注がれるときグラスを持ち上げますか。

持ち上げません。置いたまま、手を添えずに待ちます。持ち上げると注ぐ側が量を測りにくくなります。

ワインは空になってから注ぐのですか。

飲み干す前に注ぎ足すのが一般的です。空にしてから注ぐと、飲み干すことを促しているように見えてしまいます。

飲めないときはどう断ればよいですか。

グラスの縁に軽く手をかざすだけで十分です。理由の説明は不要で、勧める側も一度断られたら重ねません。

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